KAREN NISHIJIMA

名 前
:西島 かれん
出身地
:新潟県
活動拠点
:東京を基本に全国
ブログ
かれんなまいにち

◆人の心を動かす魅力

 ブログから予想していた「大人っぽいセクシーなイメージ」を払拭する、表情豊かな女性だ。
 自身のブログトップの写真のせいだろう、声優に間違えられることが多い。現在はモデルやイベントコンパニオンといった仕事をこなしているが、最終的に目指しているものは役者だという。過去にも自主制作映画への参加や舞台に出演してきた。様々な役柄を演じて、たくさんの人に感動を与えられるような役者になりたいと語る。
 役者を目指す切っ掛けは、引っ込み思案で泣き虫な性格を変えようとして始めた中学での演劇クラブにある。
 校内で上演した『人形館』の劇中、教師役として高笑いする場面があった。何がツボだったのか明らかではないが、台本通り高慢な笑い声を発したとき、会場の観客から大きな笑いがおこったという。
 「すごいですよね。演じることで人の心を動かすことができるんですよ。うれしくて癖になっちゃいます」。観客の想定以上の反応に戸惑いながらも、観る人の心を動かすことができる役者という職業に大きく魅かれていったという。


◆ネコのようなイヌ?

 周りからは『長女ですよね』と言われることが多いが、本当は末っ子で人懐っこい甘えん坊だ。そんな自分をネコのようなイヌだという。
 あれこれ難しく考えるより、ネコのように気の向くままに行動しているようで、「帰り道、いつも通る道と知らない道があったとして、不意に知らない道を行ってみたくなることがあります。ちょっとドキドキしますよね。それで迷子になっちゃったりしますけど(笑)」。何よりもまず感じるままに進んでいくタイプのようだ。「だけど、ちゃんと周りをみて行動しているつもりなので、イヌかなぁ」とのこと。
 今も役者としての活動を続けていられるのは、この性格のおかげかもしれない。
 高校を卒業するとき、役者の道に進みたいと両親に伝えたが、よい返事をもらうことができなかった。
 「役者を目指したいことを伝えたのですが反対されました。故郷が離島ですから芸能なんて想像できないでしょうね」と理解を得られなかったという。東京で暮らしたいという希望もあり、高校を卒業した後は保育士の資格が取れる東京の学校へ進学することとなった。親の言うことを聞く素直で忠犬のような娘である。というのは表向き。親元を離れ東京での暮らしが始まると、こっそり芸能養成所に通い始め、役者への活動を始めたのだった。やはりネコである。


◆「もう一度」の背中を押したい

 なかなか先の見えない役者の世界だ。保育士の資格を取得して学校を卒業した後も、アルバイトをしながらイベントや役者などを続けていた。しかし、長く続けていたからといって大きな仕事が来るとは限らない。諦めと不安から、役者の世界から離れてアパレルショップの店員として働いた時期があった。
 もともと興味のあった服飾関連の仕事で、以前舞台で着た衣装も自ら作製するくらいだ。仕事では店長を任せられ、生活も充実していたが、どこか物足りなさを感じる部分があった。そんなときに知り合った友人がいる。
 音楽を目指しているその人は、一度は挫折して音楽から離れていた時期もあったが、諦めきれず再び音楽の道を歩み始めているひとだった。役者の道を諦めきれずにいた自分の背中を押してくれた大切な人だ。
 「いろいろな事情でやりたいことをやれず、くすぶっている人ってたくさんいると思うんです。自分もそういう人たちの背中を押してあげられる存在になりたいです。えぇ、私諦めが悪いんです(笑)」
 その友人のお蔭で再び役者を目指す決心がついた。遠回りをしたが、やりたいことを再スタートできたのだった。


◆セクシーだけじゃ物足りない

 撮影ではいつも場に合わせた表現を心掛けている。
 「陽の差すお台場に物憂げな表情は変だし、寂しい情景で笑うのってないですよね」。カメラマンの選ぶシーンに合わせ、自分を作品の一部として自然に溶け込ませたり、また、背景を生かしつつ自己主張できるような積極性も大事だという。
 理想はドロンジョ様や不二子ちゃんみたいにセクシーでキュートな女性。小悪魔的だが憎めないキャラクターに憧れており、一度は特撮モノに登場するような悪役女性キャラを目一杯演じてみたいという。
 「こういう仕事って普段の生活では絶対出来ない悪役的なことも許されますからね。すっごく楽しいですよ。あとイベントなんかで着るタイトでミニな衣装もいいですねぇ(笑)」。
 ポートフォリオには貴族夫人や花魁に扮した艶っぽさと陰のある表情の写真も多い。ただ、セクシー路線だけでは物足りないようだ。「もっと柔らかい、ふわっとした写真も撮ってもらいたいんですよぉ」と女の子女の子した一面も見せる。


◆いつかメジャーになって

 実家の庭に3本の栗の木が並んでいる。姉、兄、末っ子が生まれたときに植えたものだ。
 「うちの家族は磯野家くらい仲がいいですよ。わたしはワカメちゃんポジションですね。タマポジションもいますし(笑)」。
 実のところ、姉と兄に甘えることが許された境遇にコンプレックスを持っていたようだ。姉兄の後ろにいると煩わしさから逃れることができるが、いつまで経っても一人では何もできないのではないかと感じ、京都へ一人旅したこともあった。
 現在の芸能活動を知っているのは母親だけだ。進路について相談した時は反対した母親だが、今は見守ってくれているという。
 「心配性でときどきおせっかいが過ぎる母ですが、友達のように話を聞いたり励ましたりしてくれます。不二子ちゃんとは正反対ですけど、まぁ理想の母ですね」と、大好きなかぼちゃのプリンを口に運びながら語る。
 父親にとって、末っ子の甘えん坊はいつも心配の種なのだろう。「今役者のことを話をしても心配事を増やすだけで受け入れてもらえないと思う。でも、いつかメジャーになったら役者のことを離し、父を安心させてあげられたらと思います」という。
 ちなみに強烈な台風の日。実家にある栗の木のうち、真ん中の兄の木だけが折れてしまった。「女子2人の木はいまだ健在です(笑)」とのこと。


◆やるかどうか

 何かにつけ言われてきた言葉がある。やれるかどうかではなくやるかどうか、だ。
 迷っている間は前に進むことはないが、一度やると決めた後は動くのみ。「何事も本気なら、『失敗しても何とかするから頑張れ!』って周りの人もバックアップしてくれます」。周囲のサポートに気付いてからは、気持ちが楽になり、以前よりも積極的になれた。そして『やらない』という選択をすることも間違いじゃないという。
 立ち止まって足踏みしたこと、遠回りしたこともあった。しかし、そのことで大切な友人に出会えた。そして、人の心を動かすだけでなく背中を押せるような役者になる目標もできた。
 本当にやりたいことをやれている充足感から、簡単には諦めないという自信が感じられる。




2012.03.21 二つ木